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― トッピクス ―

2022年7月1日

 2年半におよぶ新型コロナウィルス禍、2月24日からのロシアのウクライナ侵攻、ここに来て急速に台頭したインフレ懸念・・・

世界は今、歴史上まれにみる厳しい「複合危機」に直面している。

グローバル経済のなかで、中国のコロナ禍によるサプライチェーンの寸断が部品の納入遅れと値上がりを起こし、ロシアへの制裁が輸出品目のニッケルやアルミニウムの供給に支障を来たした。西側のロシアへの経済制裁は原油と天然ガスの価格高騰を起こし、欧州の購入削減は、NATO以外の新興国に安い原油が輸出されているのが実状である。

ウクライナからの穀物の輸出が事実上ストップしている状態もさることながら、値段の高騰も起きており、アフリカなどでは飢餓状態が広まっている。

 核を保有する専制国家によって世界が分断される時代に入ろうとしているなかで日本はどのように舵取りをしていくのだろうか。将来を展望し長期戦略を描くには、目先の現状だけにとらわれない論理を構築する哲学的思考が要求される。

 2021年2月24日に電気銅建値は1㌔あたり1020円となり、1㌧あたり100万円台に上昇した。今年に入ってからは、前述のコロナ禍の影響でスクラップの発生は極端に少ない状態が続いた。4月に入り相場の上昇が続き、4月22日に銅建値は1370円となり、史上最高値を記録した。それに伴い入荷量も増えたが、5月から相場が下がると発生も少ない状態が続いている。半導体や部品の納入遅れは自動車をはじめ製造業の稼働率の低下をもたらしている。おのずと我々の扱う再生原料も発生が少なくなっているのが現状である。

 一方、為替は4月に入ってから1㌦126円まで下落し20年ぶりの安値となったが下落は続いている。アメリカは景気の回復により失業率が減少し、物価の高騰が勢いを増している。アメリカFOBは高騰するインフレを抑えるために政策金利を上げてきているが、日本は金融緩和をやめられずにいるため、日米の金利差の拡大が続いているのが円安の大きな要因である。その後も止まらない円安(7月1日 TTS 136.72)は、資源高によるマネーの海外流出を輸出増加でカバー出来ない経済構造に変化したことも影響していると思う。

 6月後半からアメリカの景気にも陰りが見えてきて、物価高の不景気(スタグフレーション)の様相を呈している。非鉄金属の7月スタートは、銅建値1170円、亜鉛建値484円、鉛建値324円、真鍮855円と軒並み下落している。世界的にリセッションになりつつあるように感じている。

 将来的には、脱炭素(カーボンニュートラル)が叫ばれているなかで、EV車の普及などで銅の需要は伸びると予想されているが、この先半年間はマイナスの要因があまりに大きく、簡単には良くはならないと思う。中国の需要の回復と、ウクライナ戦争の早期解決を切に望む。

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